建設業許可の要件、実は誤解だらけ?よくある勘違いとわかりにくいポイントを解説

「うちは500万円未満の工事しかしないから、一生許可はいらない」「社長以外は経営業務管理責任者になれない」

——建設業許可についてお話を伺っていると、こうした思い込みから手続きが止まってしまっているケースによく出会います。今回は、建設業許可の要件のうち特にわかりにくく、誤解されやすいポイントを整理しました。

勘違い①「500万円未満の工事しかしないから許可は一生不要」

税込500万円未満の工事(建築一式は1,500万円未満)であれば、確かに建設業許可がなくても施工できます。ただし注意したいのは、1件の工事を意図的に分割して契約し、合計で500万円を超えないように見せかける行為は認められていないという点です。

これは「偽装分割」と呼ばれ、建設業法施行令第1条の2で、正当な理由のない契約の分割は合算して判断すると定められています。「今は小規模案件ばかりだから」と考えていても、元請から大きな案件の相談が来たときに許可を取得していないという理由で受注を逃す、というのはよくある話です。

勘違い②「経営業務管理責任者になれるのは社長だけ」

2020年10月施行の改正建設業法により、「経営業務の管理責任者(経管)」という個人の肩書きの考え方から、常勤役員等が適切な経営管理体制を有しているかという体制面の審査に変わりました。

代表取締役である必要はなく、建設業の経営経験が5年以上ある役員であれば要件を満たせますし、経験年数が足りない場合でも、経験者を補佐役として置くことで体制として認められるケースもあります。「社長に実務経験がないから許可は無理」と最初から諦めてしまうのは、少しもったいない話です。

勘違い③「資格さえ持っていれば誰でも専任技術者になれる」

専任技術者の要件で見落とされがちなのが「専任性」です。専任技術者は、許可を受ける営業所に常勤していなければならず、他の営業所や他社との掛け持ちは認められません。

施工管理技士などの資格を持つ人が在籍していても、その人が他の現場に出ずっぱりで営業所に実質いない、あるいは別会社で社会保険に加入している、といった状態では専任性が認められない可能性があります。

資格の有無だけでなく、「その人が本当にその営業所に常勤しているか」が審査されると考えておくべきです。

勘違い④「一般建設業許可があれば、どんな規模の工事も請けられる」

建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2区分があり、元請として受注した工事を下請に出す金額が一定額を超える場合は、より厳しい特定建設業許可が必要になります。

この基準額は物価上昇等を背景に段階的に引き上げられており、2025年2月1日施行の改正で現在は次の金額になっています。

区分必要なケース(下請に出す金額)
一般建設業許可下請代金の合計が5,000万円未満(建築一式は8,000万円未満)
特定建設業許可下請代金の合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)

※金額要件は建設業法施行令に基づき、過去にも2023年1月・2025年2月と改正されています。古い情報のまま「うちは一般で十分」と判断していると、気づかないうちに違反状態になっていることもあるため注意が必要です。

勘違い⑤「許可は一度取れば、あとは何もしなくていい」

建設業許可の有効期間は5年間です。更新の申請は有効期間満了の30日前までに行う必要があり、うっかり更新を忘れると許可は失効し、改めて新規申請からやり直すことになります。また、許可を維持するためには毎年「決算変更届」を提出する義務もあり、これを数年分放置してしまい、更新のタイミングで慌てて相談に来られる会社様も少なくありません。

勘違い⑥「許可を1つ取れば、どんな工事でも請けられる」

建設業許可は、土木一式・建築一式・電気工事・管工事など、29の業種ごとに別々の許可として扱われます。1つの業種の許可を持っていても、別の業種に当たる工事を500万円以上請け負う場合は、その業種の許可(業種追加)が必要です。「うちはもう許可を持っているから大丈夫」と思っていた工事が、実は別業種の扱いだった、というケースもよくあります。

まとめ:思い込みで判断せず、一度確認を

よくある思い込み実際のポイント
500万円未満なら一生不要分割契約での回避は不可(施行令第1条の2)
経管になれるのは社長だけ役員の経営経験や補佐体制でも可
資格があれば専任技術者OK営業所への常勤(専任性)が必要
一般許可で何でも請けられる下請金額5,000万円(建築一式8,000万円)で特定許可が必要
許可は取ったら終わり5年ごとの更新、毎年の決算変更届が必要
許可は1つで全業種カバー29業種ごとに別許可

建設業許可の要件は法改正のたびに金額基準などが変わっており、数年前の情報のまま判断してしまうと思わぬ落とし穴にはまることがあります。「うちの場合はどうなんだろう」と少しでも疑問に思われた際は、最新の制度に基づいて一度確認されることをおすすめします。当事務所では、愛知県内の建設業者様を中心に、許可の新規取得から更新、業種追加まで幅広くサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。

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