建設業の人手不足、もう「頑張れば何とかなる」段階じゃない|行政書士が見る打開策

「求人を出しても応募がない」「ベテランが抜けたら現場が回らなくなった」——愛知県内の建設業者様とお話ししていると、ほぼ毎回この話題になります。人手不足はもう何年も前から言われ続けているテーマですが、正直なところ「慣れっこ」になりつつある分、対策が後回しになっている会社様が多いように感じます。今回は改めて数字を確認しながら、行政書士としてどんな切り口でお手伝いできるのかをまとめてみます。

数字で見ると、やはり深刻な問題

日本建設業連合会が公表している最新のハンドブック(2026年7月更新)によると、建設業の就業者数は2025年時点で478万人。ピークだった1997年の685万人と比べると、7割弱(69.8%)まで落ち込んでいます。しかも中身を見ると、現場で実際に手を動かす「技能者」は296万人で、こちらは300万人を割り込みました。

年齢構成はさらに厳しい数字です。55歳以上が全体の約37%を占める一方、29歳以下はわずか12%程度。10年後、20年後の現場を支える若手が、今の現場にほとんどいないということになります。

帝国データバンクなどの調査では、2025年の「人手不足倒産」は過去最多の427件。業種別では建設業が113件と最も多く、しかもその約77%が従業員10人未満の小規模事業者だったというデータもあります。元請け・下請けを問わず、規模の小さい会社ほど、たった一人の退職や病欠が事業継続を左右しかねない状況になっていることが分かります。

高齢化に加えて「2024年問題」も重なった

人手不足に拍車をかけたのが、2024年4月から建設業にも本格適用された時間外労働の上限規制です。働き方改革関連法により、月45時間・年360時間(特別条項でも年720時間)という上限が罰則付きで建設業にも課されるようになりました。建設業は長らく適用猶予(5年間)が認められていた業種でしたが、その猶予が切れたのが2024年4月です。

労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)附則(建設事業に係る適用猶予)

「人を増やさないと回らないのに、増やせない。かといって今いる人に無理をさせることもできない」——多くの経営者様が、この板挟みの中で頭を悩ませています。

行政書士として、こんなお手伝いができます

人手不足そのものを一気に解消する魔法はありませんが、制度を正しく使うことで、確実に前進できる部分があります。私が特にお役に立てると考えているのは、次の3つです。

①特定技能外国人の受け入れ

即戦力となる人材を確保する手段として、特定技能という在留資格があります。建設分野は制度開始当初から対象になっており、建設業許可の保有・建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録・建設技能人材機構(JAC)への加入・国土交通大臣による受入計画の認定という、建設業ならではの手続きを踏む必要があります。手続きが複雑な分、専門家が間に入ることで、受け入れまでのスピードと確実性が大きく変わってきます。

②経営事項審査(経審)のW点を底上げする

意外と見落とされがちなのですが、経審の評価項目には「建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況」というW1区分があり、若年技術者・技能者の育成状況や、ワーク・ライフ・バランスへの取り組み、CCUSの活用状況などが加点対象になっています。つまり、人材確保・定着のために会社がやっていることは、きちんと経審の点数、ひいては公共工事の受注力にも跳ね返ってくる仕組みになっているのです。「採用・育成に力を入れているのに、それが点数に反映されていない」という会社様は、一度棚卸しをしてみる価値があります。

建設業法施行規則に基づく経営事項審査の審査項目(W1:建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況)

③建設業許可の業種追加・維持で、受注の間口を広げる

人手が限られている今だからこそ、「取れる仕事の幅」を広げておくことも大切です。すでに持っている許可業種だけに頼らず、実は経験のある別の業種で許可を追加できないか、専任技術者の要件を満たせないか、一度確認してみることをおすすめします。限られた人員でも、受注できる工事の種類が増えれば、一件あたりの売上効率を上げることにもつながります。

まとめ

建設業の人手不足は、高齢化という構造的な要因に、2024年問題という制度的な要因が重なって、ここ数年でより深刻になっています。会社の努力だけでどうにかできる範囲を超えてきているのも事実です。

だからこそ、特定技能という制度を正しく活用する、経審で自社の取り組みをきちんと点数化する、許可業種を見直して受注の幅を広げる——こうした「制度を味方につける」動き方が、これからの建設業経営にはますます重要になってくると感じています。何から手をつければいいかわからない、という段階からでも構いませんので、お気軽にご相談ください。


参考リンク

  • 一般社団法人日本建設業連合会「建設業ハンドブック」建設労働データ:https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html
  • 労働基準法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049

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