「現場の人手が足りない。外国人材を雇いたいが、建設業は手続きが特殊だと聞いた」
建設業の経営者様からこうしたご相談が増えています。実際、特定技能「建設」分野は特定技能16分野の中でも受入手続きが最も複雑な分野です。本記事では、建設業で特定技能外国人を受け入れるために必要な要件と手続きの流れを整理します。
特定技能「建設」とは
特定技能は、出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第一の二に定められた在留資格で、人手不足が深刻な分野で即戦力の外国人材を受け入れる制度です。建設分野は2019年4月の制度開始と同時に対象となり、2026年現在は特定技能1号・2号ともに運用されています。
【法的根拠】出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第一の二
https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
一般的な特定技能は「技能試験・日本語試験の合格」と「受入企業の基準適合」で手続きが進みますが、建設分野には他分野にない独自の要件が4つあります。
建設分野特有の4つの受入要件
①建設業許可を保有していること(建設業法第3条)。無許可事業者はそもそも受け入れられません。
②CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録。受入企業の事業者登録に加え、受け入れる技能者本人の技能者登録も必要です。就労実態の透明性を確保するための建設分野特有の要件です。
③JAC(建設技能人材機構)への加入。JACは国土交通大臣から「特定技能外国人受入事業実施法人」の登録を受けた団体で、建設分野で受け入れる企業は原則として正会員になる必要があります。入会には、建設業許可の保有・社会保険や労働保険への適正加入・過去5年間に重大な法令違反がないことなどの条件があります。
【参照】一般社団法人建設技能人材機構(JAC)公式サイト:https://jac-skill.or.jp/
④建設特定技能受入計画の認定(国土交通大臣)。受入れ予定の外国人の氏名・職種・雇用期間・報酬額・教育訓練計画・住居確保方法などを記載した受入計画を作成し、国土交通省へ認定申請します。
【法的根拠】特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する要領(建設分野運用要領)
国土交通省「特定技能制度(建設分野)」:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00003.html
つまり建設分野では、国土交通省の受入計画認定→出入国在留管理庁への在留資格申請という「二段階審査」が必要になり、これが他分野より複雑になる最大の理由です。なお、建設分野の特定技能外国人は労働者派遣が認められておらず、直接雇用に限定されています。
特定技能1号と2号の違い
- 1号:在留期間は通算5年が上限。家族帯同は不可。
- 2号:2号評価試験に合格し、班長・職長として一定期間(職種により概ね0.5〜3年)の実務経験があれば移行可能。在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。長期的に技能者を戦力化したい企業にとって重要な選択肢です。
2026年1月施行の改正行政書士法と受入計画書類
見落とされがちですが重要な法改正があります。2025年6月に成立し2026年1月1日に施行された改正行政書士法により、業務制限規定(第19条)が明確化されました。行政書士(法人)でない者が、他人の依頼を受け、いかなる名目であれ報酬を得て官公署提出書類の作成を業として行うことは禁止され、違反すれば1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。
【法的根拠】行政書士法(昭和26年法律第4号)第19条・第21条の2
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004
建設特定技能受入計画の認定申請書類や在留資格認定証明書交付申請書などの作成は、この独占業務に該当します。これまで登録支援機関等が支援業務の一環として書類作成まで担うケースも見られましたが、改正後は書類作成部分を行政書士(または弁護士)に委託する体制でなければ、受入企業・委託先双方が法令違反のリスクを負います。登録支援機関との役割分担を明確にし、書類作成は行政書士に依頼する体制づくりが前提になります。
2027年施行の育成就労制度との関係
2027年4月1日には技能実習に代わる「育成就労制度」が施行予定です。建設分野については、JAC・CCUS・受入計画認定という現行の枠組みが基本的に維持される見込みとされています。技能実習生を受け入れている事業者様は、特定技能1号への移行を含めた中長期の人材戦略を早めに検討しておくことをおすすめします。
まとめ
- 建設分野の特定技能受入れには、建設業許可・CCUS登録・JAC加入・受入計画認定という4つの独自要件がある
- 国土交通省の受入計画認定→入管への在留資格申請という「二段階審査」が必要で、派遣は不可・直接雇用のみ
- 2号移行で在留期間上限なし・家族帯同も可能に
- 2026年1月施行の改正行政書士法により、受入計画や在留資格の申請書類作成は行政書士の独占業務であることが明確化された
建設業の特定技能受入れは準備期間を数ヶ月単位で見ておく必要がある手続きです。JAC加入からCCUS登録、受入計画の作成・申請まで、抜け漏れのない体制づくりについてお困りの際は、お早めにご相談ください。
参考リンク
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
- 行政書士法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004
- 国土交通省「特定技能制度(建設分野)」:https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00003.html
- 一般社団法人建設技能人材機構(JAC):https://jac-skill.or.jp/
※本記事は執筆時点の法令・制度に基づき作成しておりますが、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な受入れをご検討の際は専門家にご相談ください。

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