「そろそろ建設業許可を取ろうと思っている」——そう考えている建設会社の経営者様、担当者様は多いのではないでしょうか。
建設業許可は、一定規模以上の工事を請け負うために必要な許可であり、取得することで対応できる工事の幅が広がり、対外的な信頼にもつながります。しかし、いざ準備を始めると「思ったより複雑だった」「途中で書類が足りないことに気づいた」というお声をよく耳にします。
この記事では、建設業許可を取得する際に押さえておきたい注意点を、実務の視点から整理してご紹介します。
そもそも建設業許可とは
建設業許可とは、建設工事を請け負う事業者が、一定の要件を満たしていることを都道府県知事または国土交通大臣から認められる制度です。
軽微な工事(建築一式工事の場合は1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満、その他の工事で500万円未満など)のみを行う場合は許可が不要ですが、それを超える規模の工事を請け負うには許可の取得が必須となります。
「今はまだ小規模だから大丈夫」と考えていても、事業拡大のタイミングで急に必要になるケースは少なくありません。取得には一定の準備期間がかかるため、必要になってから慌てて動き出すのではなく、早めに要件を確認しておくことが望ましいといえます。
建設業許可を取得する際の6つの注意点
注意点①:経営業務の管理責任者要件
建設業許可を取得するには、経営業務の管理を適正に行える体制があることを証明する必要があります。以前は「経営業務の管理責任者」という個人の要件が重視されていましたが、現在は法人としての体制も含めて柔軟に判断される仕組みに変わっています。
とはいえ、実務上は「建設業に関する経営経験が一定期間あること」を示す資料(登記簿謄本、確定申告書、工事契約書など)が必要になる場面が多く、この資料集めに時間がかかるケースが目立ちます。過去の資料が手元に残っていない、確定申告書を紛失している、といった事態は珍しくないため、早めの棚卸しをおすすめします。
注意点②:専任技術者の配置
営業所ごとに、一定の資格や実務経験を持つ「専任技術者」を配置する必要があります。専任技術者は原則としてその営業所に常勤している必要があり、他の営業所や他社と兼務することはできません。
ここでよくある注意点が、資格保有者はいても「常勤性の証明」で行き詰まるケースです。健康保険証や住民票、雇用契約書などで常勤性を示す必要があり、資格があるからといって自動的に要件を満たすわけではない、という点は見落としがちです。
また、実務経験で専任技術者要件を満たそうとする場合は、経験期間を証明するための工事契約書や請求書などを長期間分そろえる必要があり、資料が整理されていないと非常に手間がかかります。日頃から工事ごとの契約書や請求書を整理しておくことが、後々の負担を大きく減らします。
注意点③:財産的基礎の要件
建設業許可では、一定の財産的基礎または金銭的信用があることも求められます。具体的には、自己資本額が500万円以上であること、または500万円以上の資金調達能力があることなどが基準となります。
決算書の内容によっては、この基準を満たしていないことが申請直前に判明するケースもあります。特に新設法人や、直近の決算が赤字だった会社は注意が必要です。財産的基礎の要件は決算内容に直結するため、許可取得を見据えている場合は、早い段階で顧問税理士とも連携し、決算内容を確認しておくことをおすすめします。
注意点④:欠格要件に該当していないか
法人の役員や個人事業主本人、また一定の使用人が、過去に建設業法違反や一定の犯罪歴、破産歴などの欠格要件に該当していないかも確認されます。
見落とされがちなのが、「役員」の範囲です。取締役だけでなく、実質的に経営に関与している人物(相談役、顧問など)も含めて確認が必要になる場合があります。役員全員分の書類(身分証明書、登記されていないことの証明書など)を漏れなく揃える必要があるため、対象者の把握を早めに行うとスムーズです。
注意点⑤:社会保険の加入状況
近年、建設業許可の要件として社会保険への適正加入が厳格化されています。健康保険、厚生年金保険、雇用保険への加入状況が確認され、未加入の場合は許可を取得することができません。
「許可は取れたが社保が未整備だった」という状態は、後々のトラブルにつながりやすい部分です。許可申請の準備と並行して、社会保険の加入状況を見直しておくことをおすすめします。なお、社会保険の手続き自体は社会保険労務士の業務範囲となるため、未加入や手続きに不安がある場合は、社労士と連携しながら進めるのが安心です。
注意点⑥:書類は「そろえる」より「整理しておく」が重要
ここまでご紹介した要件の多くに共通するのが、「書類さえあれば大丈夫」ではなく、「必要なときにすぐ取り出せる状態になっているか」が大きな差を生む、という点です。
工事契約書、請求書、決算書、登記簿謄本——これらが整理されずに複数の場所に分散していると、申請準備だけで数週間から数ヶ月かかることもあります。逆に、日頃から書類が整理されている会社様は、許可取得までの期間を大きく短縮できる傾向にあります。
また、許可は取得して終わりではなく、5年ごとの更新や、毎年の決算変更届の提出なども必要です。取得時にきちんと整理しておくことは、その後の更新・維持の負担軽減にも直結します。
まとめ
建設業許可の取得には、経営業務の経験、専任技術者の配置、財産的基礎、欠格要件、社会保険の加入状況など、複数の要件をクリアする必要があります。どれか一つでも準備不足があると、想定より時間がかかったり、申請自体ができなかったりすることもあります。
「うちの要件を満たせるのか」「何から準備すればいいのか分からない」という段階でも、早めにご相談いただくことで、必要な書類の洗い出しから逆算したスケジュールを組むことができます。
建設業許可の取得をお考えの際は、書類の整理も含めて、ぜひお気軽にご相談ください。

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